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今、出来ることの積み重ね南部屋印刷株式会社 |
私にとっての「経営革新」は、日々様々な情報を得、感じること、学ぶこと、様々な基準で判断し、最良と思える判断を繰り返し、繰り返し積み重ねていくことそのもといえるかもしれない。設備も時代もシステムも同じ状況はないし、その確定的基準がなんなのかについて、現在の私には明言することができない。
では、あなたの経営はと改めて問いたださせれば、「なりたい自分になること、会社にすること」、「目的を持ち続けられる組織でいること」と漠然とだが思っている。
私は以前、紙の販売を通じて多くの印刷人にお世話になった。紙という既製品が文字や図、写真などが色鮮やかにのり、製本や様々な加工を経て価値を高めていく過程を見、印刷という仕事は、作り手も依頼者も互いの満足の均衡を求め合う職種であることに気づかされる事が何度もあった。
印刷を生業にしての10年少々の間に、県工組の様々な研修や同業関連業の人たちを通じて一層感じてきたことだ。このことは、営業からプリプレス、プレス、ポストプレスまですべての職種に言えると思う。
理由は簡単で印刷物は一つ一つがオーダーメイドで、依頼者がいてその人の満足を図りながら進める事が出来るからだ。基本的には同時に同じ規格の商品を作る事はない。同じ仕様書でも、各社そして携わった人が違えば異なったものにできるのが印刷である。
印刷業者の中にはそのことに気付かず、そのことに苦しみさえ感じている方も少なくない。自分の業界について自信を持てない人は、印刷業界だけにとどまらず、お客様の中にも多く見受けられる。皆さんその理由はほぼ同じで自分の業界の特殊性を強調し、「誰に何をどのように売ったらいいのかわからない」と漠然とした焦燥感のようなものを口にする。私がユーザーとしてお客様の業界、会社の魅力、そして希望、不満点を申し上げると驚き、怒りだす方もいらっしゃる。そして皆様が「印刷はいいよなぁ」と続くのである。
そして印刷業界のイメージを語りはじめる。まだまだ印刷業界も捨てたものじゃないと思うのである。ただ当社も含め印刷業界に対しての満足度は極めて低く、辛口の評価をくださるお客様に対する当社内の印象も決して良くない場合が多く、相互に不満が見え隠れする。このことに気づく時、まさにお互いの満足度を上げられるチャンスと考える。
商品の満足度は商品でしか解決できない。印刷業は自らが製造するもので、それは一方通行の商品ではなく、お客様からのオーダーメイドの商品だ。こんなチャンスに恵まれた業界はそうそうあるもでない、しかしこのチャンスを活かせている印刷業者は少ないのではないだろうか。
どの業種業界にも勝ち組は存在し、印刷業も全体の3割4割が消えてなくなるとさえいわれている。チャンスをつかめないものは消えゆくのを待つだけだろうか?パソコンの出現や、トナー印刷に印刷業は駆逐されるのか?なぜチャンスを生かせないのか?チャンスがあることに気付いているのだろうか?
成功事例で学ぶ中で、これなのかと思うことがあった。印刷業界が最大の商品としていながら、自社ではなかなか持てない「情報」と「コミュニケーション」である。
「ビジネス4大資源」といわれる人・モノ・金・情報の「人」と「情報」がキーワードらしい。お客様とのコミュニケーションはどうだろう?情報はとれているだろうか?伝えたいことは伝わっているだろうか?
ここで出来ているなら、現状の5割の問題は解決されるのではないだろうか?解決されなくとも解決の糸口になるのではないだろうか?
コミュニケーションの重要なポイントは「人」である。すべての要!どんな優秀な機械もソフトウエアーも使う人間の能力以上に性能を出せない。人と人はコミュニケーションでしか繋がれない。人と人は共有するものがあればより強固にコミュニケーションできる。印刷は満足度を共有できる。提案型営業、何を提案するのか?自社の都合に合わせた商品?お客様とのコミュニケーションから生まれた商品?お客様に利益もたらすのはどちらの商品かは明白だと思う。誰でも相手の立場、お客様の立場になれる。あとは続けることである。顧客満足度は相手に対する理解度、ほんの少しでも相手の期待を上回ればいい。ものをつくる上で相手を理解し自分の仕事を認めてもらう。このことが満足度につながるのではないか。
「人」と「コミュニケーション」と「情報」の円滑な連鎖が理想ではありますが、極めて難しい課題でもあります。「人」という資源はお金で得にくい財産だと思う。まして成長には時間がかかり、実力のある人でもすぐに成果を出せるものでもありません。社風や組織、もしかしたら経営者そのものがネックとなっているかも知れません。
ハードルは決して低くはないし、いつまで待っても低くはなりません。メーカーも解決してくれません。でも自分の意志で、今すぐ着手でき、絶えず挑戦し続けなければならないものと思うのであります。
仕事に対する「満足度」の向上は人を活性化します。革新とは自分自身変革のことなのかもしれません。